「相続放棄って自分で出来るの?やり方を教えてほしい。」
「相続放棄した後の注意点ってあるの?」
「相続放棄をしたいんだけど、注意点ってあるの?」
これらの疑問を持つ方はいらっしゃいませんでしょうか?
そこで今回はこれらの疑問全てに答えていこうと思います。
この記事は司法書士にインタビューして書いておりますので、情報はかなり最新のものになります。
「これをすると相続放棄が出来なくなる」という大事な項目がありますので、是非最後までお読みください。
相続放棄は自分で出来る?
結論、相続放棄は自分で出来ます。
ステップごとに1つずつ見ていきましょう。
STEP1 戸籍等を集める
集める戸籍は、相続関係によっても変わってきます。
ですから今回は1番多い相続関係である親が亡くなって子供が相続放棄をするパターンで見ていきましょう。
①放棄する人の戸籍謄本
②亡くなった方の戸籍謄本
③亡くなった方の戸籍附表
こちらは住民票の除表でも可です。
戸籍関係をとる場合はその人の本籍地の役所で、住民票関係をとる場合はその人の住所地の役所で取得する必要があります。
戸籍を集めたら次は相続放棄申述書を書きます。
STEP2 相続放棄申述書の書き方
相続放棄申述書がどういうものなのか見ていきましょう。
最終的に家庭裁判所に提出するのですが、相続放棄申述書の紙の入手方法としては、3つあり、
①裁判所のホームページからダウンロードすること
②裁判所に貰いに行く
③裁判所から郵送で貰う
というパターンがあります。
実際の相続放棄申述書の1ページ目の書き方を説明します。
裁判所は提出する裁判所の名前を書きます。
日付に関しては申請する日付を書きます。
申述人の欄には放棄する人の名前を書きます。
最終的に印鑑を押しますが、印鑑は認印でも可能です。
添付書類としては、先ほどの戸籍を取っていればその添付する書類の欄にチェックを入れて何通かを記載します。
次に申述人の欄には放棄する人の内容を書きますので、本籍・住所・氏名・生年月日・職業、そして亡くなった方との関係を記載します。
本籍に関しては知らない方が多いと思うのですが、今回戸籍を取っているので取った戸籍を参考に戸籍を書いてください。
そして1番下の被相続人の欄は亡くなった方の内容を書きます。
これも本籍・氏名・住所・生年月日・職業・亡くなった日を書きます。
亡くなった方の戸籍、戸籍附表か住民票を既に取っているので、こちらも参考にして書いてくださいね。
1番上に印紙を貼るところがありますので、800円の印紙を貼り付けてください。
印鑑などを押す必要はありません。
次に2ページ目は申述書の趣旨を書くことになります。
申述の理由、なぜ放棄をするのかということを記載する場所です。
まずは相続の開始を知った日に日付を入れて、それがいつなのか該当する箇所にマルをします。
例えばもう亡くなった日にそのまま亡くなったということを知ったのであれば1番にマルをしてください。
次に放棄の理由のところになります。
借金が多くて放棄したいということであれば、5番の債務超過のためにをマルをしましょう。
最後に財産を記載するところがあるので、亡くなった方の財産をわかる限り全てここに記載してください。
相続放棄申述書を全てここまで書き終わったら、家庭裁判所に相続放棄申述書を出します。
ということで実際に申請をしていきます。
STEP3 家庭裁判所に相続放棄を申請する
家庭裁判所に相続放棄を申請していくのですが、どこに出すか皆さん気になりますよね。
答えは、亡くなった方の住所地の家庭裁判所です。
家庭裁判所の管轄がわからない場合は、裁判所のホームページで確認してください。
提出する書類としては、集めた戸籍等、そして申述書、切手です。
切手とは?と思った方はいらっしゃいませんか?
裁判所とは郵送でやりとりをするものなので、その時に使うもので基本的に裁判所に連絡をして「切手はいくら必要でしょうか?」と確認をするようにしてください。
あとは郵送か持ち込みになります。
遠方であれば郵送する方がいいかと思いますが、お近くであれば持って行っていただく方がその場で訂正なども出来るので持ち込みの方がいいかと考えます。
こうして提出が終わりましたら、照会書等が届くので記入して返信する形になります。
STEP4 照会書が届くので記入して返信する
この照会書というのは「本当にあなたは相続放棄をしましたか?」という確認する手紙が届きます。
それにチェックをして署名捺印をして返信してください。
この照会書は届かない場合もありますが、届いた場合は必ず返信しましょう。
STEP5 家庭裁判所が申述を受理する
すると家庭裁判所が申述を受理します。
STEP6 家庭裁判所から通知がくる
それから家庭裁判所から「相続放棄受理通知書」という通知がきます。
これで全て相続放棄完了となります。
とは言ってもシンプルな相続関係であればご自身で相続放棄を行うことも出来ますが、専門家に任せた方がいいケースもあります。
専門家に任せるべきケース
相続放棄を専門家に任せた方がいいケースもあります。
亡くなってから3ヶ月が経過している場合
例えば3ヶ月経っていても受理されることもありますが、理由書などを書く必要が出てきます。
なぜ3ヶ月経過したのかというのを裁判所に提出する必要性があるので素人では難しいと考えます。
こうなった場合は、専門家に任せるべきです。
亡くなった方と関わりがなかった場合
亡くなった方と関わりがなかった場合は、戸籍などの情報を集めるのも大変になるので、専門家に任せた方が良いでしょう。
相続関係が複雑
相続関係が複雑であれば取る戸籍はとても多くなってきます。
例えばおじさんが亡くなって自分が姪っ子で自分が相続人になってしまった場合は、おじさんの出生から死亡まで全ての戸籍、おじさんの両親が亡くなったことがわかる戸籍など、色んなものを取る必要性があるので、この場合も専門家に任せた方が良いでしょう。
失敗したくない、確実に相続放棄されたい方
失敗したくない、確実に相続放棄されたい方も専門家に任せた方が安心できますよね。
相続関係がシンプルであればご自身で相続放棄することも可能だと思いますが、どうしてもこのような任せた方がいいケースに当たる方はお近くの専門家に相談された方がいいでしょう。
これをすると相続放棄出来なくなります
相続放棄したい人はこの項目は必見です。
まずは、相続人同士の話し合いで遺産を相続しないことを相続放棄ということもありますが、その会議ではプラスの財産は分け与えられなくとも負債の放棄まではすることが出来ませんので注意しましょう。
亡くなられてから3ヶ月を過ぎてから
熟慮期間を過ぎてしまったと難しい言葉では言いますが、亡くなられたのを知ってから3ヶ月を過ぎてしまうと、単純承認と言って相続したことと見なされてしまうので気をつけましょう。
期限内でも相続放棄が出来なくなる場合がある?
結論、期限内でも相続放棄が出来なくなる場合もあります。
例えば、遺産を処分した時です。
処分とはどういったことを言うのでしょうか、見ていきましょう。
①遺産分割協議を行うこと
相続をしたいから遺産分割協議を行ったのですよね。
そうなると遺産の処分に当たりますので相続放棄は出来ません。
②亡くなられた人の債務の弁済をすること
遺産の中から債務の弁済をすると遺産を処分したことに当たります。
ですから、債権者から「お金を返してくれ」と言われても、「相続放棄検討中なのでお金を返すことは出来ません。」と言うのが正解になります。
③亡くなられた人の債権を取り立てて収受すること
債権を取り立てて遺産を受け取るとなると、相続放棄は出来ません。
注意点:債権は消滅時効があります。請求だけするのは保存行為なので、大丈夫です。
注意事項として、生命保険金や未支給の年金は遺産ではなく相続人の権利なので考える必要はありません。
④不動産を売却・贈与などすること
不動産を遺産としていただいた場合は売却・贈与などをすると、相続放棄は出来ません。
⑤株式の議席権を行使すること
会社をやっている方などの株式の議決権を行使することも遺産の処分に当たります。
3ヶ月以内にこのようなことをすると、遺産の処分に当たるので気をつけましょう。
遺産の処分に当たらないもの
ここでは遺産の処分に当たりそうで当たらないものを2つ紹介します。
1つ目は遺産による葬儀費用の支払いです。
社会通念上葬儀費用の支払いは認められています。
2つ目は資産価値のない形見分けもあります。
古い着物などが当たります。
宝石などはNGになります。
相続放棄をしよう
皆さん、相続放棄の仕方は掴めましたか?
シンプルな関係性の相続である場合は、自分で相続放棄をして費用の節約をしましょう。
複雑な関係性の相続である場合や事情があって3ヶ月を超過してしまった場合は、司法書士などの専門家に依頼した方が良さそうですね。
また通常3ヶ月を超過してしまった場合は相続放棄が出来ないため、早めに相続放棄申述書や必要書類を取り繕い、裁判所に提出しましょう。
そして相続放棄を考えている方は遺産の処分をしないようにしましょう。
遺産の処分には沢山の項目がありますので、是非この記事を見て整理してくださいね。
債権は消滅時効がありますので、請求だけするのは保存行為に当たるので可能です。
ぜひ亡くなられた方に債権がある方は考えてみてください。
注意事項として生命保険金や未支給の年金は遺産ではなく相続人の権利なので考える必要がないことを挙げましたが、こちらはご理解いただけたでしょうか?
こちらは勘違いしやすい点でもあるので、しっかり押さえておきましょう。
葬式費用などは遺産の処分に当たりませんので、安心して良いですよ。
それでは、相続放棄を考える皆さんが無事相続放棄をすることが出来ることを願い、この節を締めたいと思います。