相続放棄はニュースでも取り上げられる相続の問題においてよく出てくる言葉です。
親の借金を引き継ぎたくないから相続放棄をした、遺産はいらないから相続放棄をした、こういった話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
親の財産は実家ぐらいだけどボロ屋だし買い手もつかないだろうし、相続放棄したいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
ですが相続放棄はどのようにして相続放棄完了になるのかご存じですか?
単に私は相続をしませんと意思表示しただけでは相続放棄にはなりません。
今回は意外と知られていないであろう相続放棄の基本をより具体的に説明します。
また、
「相続放棄をしたいけど、必要書類はどれなのか教えてほしい。」
「相続放棄をしたいけど、必要書類の書き方を教えてほしい。」
「相続放棄をしたいけど、必要書類はどこに提出すればいいのか教えてほしい。」
このような疑問をお持ちの方は多いでしょう。
そこで今回は「相続放棄の必要書類の書き方から提出まで相続放棄の基本から徹底解説!」と題しまして、これら全ての疑問に答えていこうと思います。
この記事は司法書士にインタビューして書いておりますので、情報は最新のものになります。
相続放棄に関する必要書類について見てみよう
・相続放棄の申述書
・申述人の戸籍謄本
・亡くなられた方の住民票除表、または戸籍附表
他にも追加で必要な書類を求められることもあります。
亡くなられた方の戸籍は生まれてから全ての情報が必要となります。
相続放棄の必要書類の書き方から提出まで
申述書の書き方は申述する方の年齢が20歳以上か20歳未満で若干異なりますが、今回は20歳以上で解説したいと思います。
1番上に印紙を貼るところがありますので、800円の印紙を貼り付けてください。
印鑑などを押す必要はありません。
裁判所は提出する管轄先の裁判所の名前を書きます。
日付に関しては申請する日付を書きます。
申述人の欄には放棄する人の名前を書きます。
最終的に印鑑を押しますが、印鑑は認印でも可能です。
添付書類としては、先ほどの戸籍を取っていればその添付する書類の欄にチェックを入れて何通というように記載していきましょう。
次に申述人の欄には放棄する人の内容を書きます。
本籍・住所・氏名・生年月日・職業、そして亡くなった人との関係を記載します。
亡くなった方の本籍に関しては知らない方が多いと思うのですが、今回戸籍を取っているのでそれを参考に戸籍を書いていきましょう。
そして1番下の被相続人の欄は亡くなった人の内容を書きます。
これも本籍・氏名・住所・生年月日・職業・亡くなった日を書きます。
亡くなった人の戸籍、戸籍附表か住民票を既に取っているので、こちらも参考にして書いてください。
1ページ目はこれで終了です。
次に2ページ目は申述書の趣旨を書くことになります。
申述書の趣旨とは、申述の理由、なぜ放棄をするのかということを記載する場所です。
まずは相続の開始を知った日に日付を入れて、それがいつなのか該当するところに丸をします。
例えば亡くなったその日に亡くなったということを知ったのであれば1番に丸をしてください。
次に放棄の理由です。
借金が多くて放棄したいということであれば、5番の債務超過のためにに丸をしましょう。
最後に財産を記載する欄があるので、亡くなった人の財産をわかる限り全てここに記載してください。
相続放棄申述書を全てここまで書き終わったら、亡くなった人の住所地の家庭裁判所に相続放棄申述書を出します。
相続人のお近くの家庭裁判所ではありません。
どこでもいいから出せばいいというわけでもありませんのでご注意ください。
家庭裁判所の管轄がわからない場合は、裁判所のホームページで確認してください。
提出する書類としては、集めた戸籍等、そして申述書、切手です。
相続放棄とは
そもそも相続放棄とは相続を放棄することを言います。
相続を放棄することで、最初から相続人ではなかったという扱いになり、自宅や預貯金といったプラスの財産はもちろん、借金などマイナスの財産など全ての財産を相続しないということになってきます。
相続放棄は家庭裁判所で行う法的な手続きで成立するものであって、単なる他の相続人に対する意思表示などでは相続放棄は成立しません。
相続放棄をしないと借金などの負債は引き継がれてしまいます。
必ず期限内に家庭裁判所で手続きを行いましょう。
相続放棄のメリット
それでは相続放棄のメリットを見ていきましょう。
1つ目に亡くなられた方の借金などの負債を相続しなくて良いことが挙げられます。
2つ目に相続人にはならないということなので、相続人の揉め事に関わらなくて済むことが挙げられます。
・遺産が借金だらけ
・遺産が管理費用のかさむ不動産などしかない
・相続に関わりたくない
このような場合に有効な選択肢となります。
相続放棄のデメリット
相続放棄のデメリットについて見ていきます。
これはシンプルに1つだけになります。
全ての遺産を手放すことになることです。
プラスの財産、マイナスの財産どちらも相続することが出来ません。
亡くなられた方の遺産が2億円の資産と1億円の借金だったとします。
2億円の資産だけを相続することはできないので注意しましょう。
亡くなられた方の家に同居していたら退去しなくてはならなくなり、亡くなられた方の所有物に関与することが出来なくなります。
電化製品なども亡くなられた方の所有物であれば勝手に処分することも出来なくなってきます。
相続放棄をするにあたって
相続放棄は1度行うと取り消すことが出来ません。
相続放棄の手続きは、亡くなった日から3ヶ月以内に家庭裁判所にて行いましょう。
その際に相続放棄の申述をご自身で行い、認めてもらわなければなりません。
ここで注意しなければならないのが、申述先が亡くなられた方の最期の住所地を管轄する家庭裁判所であることです。
最寄りの裁判所ではないところに注意しましょう。
単純承認が成立すると相続放棄が出来なくなります。
単純承認とは相続放棄の反対で全ての遺産を引き継ぐことを言います。
亡くなられた方の財産に手をつけてしまうと、単純承認が成立してしまうので注意する必要が出てきます。
これを遺産の処分と言います。
また、相続放棄することによって、相続人の相続順位が変動します。
このことで思わぬ迷惑をかけてしまうこともありますのでご注意ください。
相続人になる可能性がある親族には相続放棄を早めに相談しておくべきですね。
3ヶ月ギリギリになってから相続放棄をすると、次の相続人の相続について検討する期間が短くなってしまいます。
相続とはご自身だけでのイベントではないことを忘れないでください。
相続放棄の流れ
申述を行う際は必要書類も一緒に提出をしましょう。
家庭裁判所から申述受理通知書が届くことで完了します。
STEP1 亡くなられた方の全ての財産調査を行うこと
まずは亡くなられた方の財産調査をして相続放棄をするかどうかをご自身で検討しましょう。
・預貯金
・有価証券
・不動産
・自動車
・貴金属
・借金
・滞納した税金
・未払いの医療費
など漏れがないように調べていきましょう。
STEP2 必要書類を収集する。
前項を確認してください。
STEP3相続放棄の申し立て
書類が揃ったら申述書と共に家庭裁判所に提出し、相続放棄の申し立てを行う必要があります。
書類に不備があると期限に間に合わないことがあるため、早めに提出しましょう。
相続放棄にかかる費用
相続放棄にかかる費用について解説します。
自分で手続きする場合の費用
・申述書に添付する印紙代:800円
・亡くなられた方の戸籍謄本:450円
・亡くなられた方の除籍謄本/改製原戸籍謄本:750円
・亡くなられた方の住民票:300円程度
・申述人の戸籍謄本:450円
・郵便切手:500円程度
・その他(交通費など)
相続人1人につきかかる費用は3,000円程度になってきます。
専門家に依頼する場合の費用
相続放棄では司法書士や弁護士に依頼していきます。
この場合の費用について記載します。
相場は5万円以上となっています。
依頼する専門家によって変わってきますので、無料相談なども利用してみると良いでしょう。
相続放棄をしよう
皆さん、相続放棄の必要種類の書き方は掴めましたか?
- ご自身が記載した申述書
- 亡くなられた方の住民票除表、または戸籍附表
- 申述人(ご自身)の戸籍謄本
を用意して臨みましょうね。
申述書は裁判所のホームページからダウンロードすることも出来ますので、確認してみてください。
もちろん、裁判所にもらいに行くことや裁判所に郵送でいただくことも可能となります。
また提出の仕方もわかりましたか?
亡くなられた人の住所地の管轄する裁判所に提出します。
郵送でも良いですが、近辺の場合は立ち寄った方が訂正なども出来るので立ち寄ることをおすすめします。
もし今回亡くなられた方の相続がシンプルな関係性の相続である場合は、自分で相続放棄の手続きをして専門家への依頼費用を節約しましょう。
複雑な関係性の相続である場合や事情があって3ヶ月を超過してしまった場合は、司法書士などの専門家に依頼した方が良いと考えます。
また通常3ヶ月を超過してしまった場合は受理されない場合もありますので、早めに必要書類を揃え、裁判所に提出することを心がけましょう。
相続放棄にはメリットもデメリットもありますので、そちらを考慮した上で検討しましょうね。
また、次の相続人に思わぬ迷惑をかけてしまうこともありますので、ご注意ください。
相続は決して1人だけのイベントではなく、相続人全員が関わっていくイベントになります。
ですから、相続人となりうる人には必ず相続放棄のことは相談した上で相続放棄を決断しましょう。
それでは、相続放棄を考える皆さんが無事相続放棄を決断できること、相続放棄の必要書類を上手く収集できてスムーズに相続放棄をすることが出来ることを願い、この節を締めたいと思います。