「どの専門家にどの相談内容を持ちかけたらいいかわからない。」
「相続税の悩みだから税理士に頼めばいいのか。」
「法律に関することだから弁護士に相談すべきなのか。」
「司法書士や行政書士に頼むべきなのか。」
相続が発生した時、多くの方が抱える悩みを挙げてみました。
今あなたが置かれている状況によって相談すべき専門家は変えるべきだという話をこの記事ではしていきます。
今あなたが置かれている状況で誰に何の相続の手続きを代行すればいいのか、自分で見極められるようになりましょう。
ぜひ最後までお読みください。
相続の悩みを解決する資格には何がある?
相続の悩みを解決する人にはどんな資格も持つ人がいるのか見ていきましょう。
まず、国家資格を有する人と民間資格を有する人がいます。
両者の明確な違いとしては、法律行為を行えるか行えないかといったところで分けられます。
ではどんな職業の人がいるか見ていきましょう。
相続の悩みを解決する国家資格保有者
相続の悩みを解決する国家資格保有者には、弁護士・税理士・司法書士・行政書士がいます。
相続の悩みを解決する民間資格保有者
相続の悩みを解決する民間資格保有者には、次のような3つの職種があります。
相続診断士・相続アドバイザー・終活カウンセラーなどがです。
相続の手続きを代行してくれる専門家の独占業務
相続の手続きを行ってくれる専門家には、弁護士・税理士・司法書士・行政書士がいます。
下の表を見てください。
弁護士 | 税理士 | 司法書士 | 行政書士 | |
不動産の登記 | ◯ | ◯ | ||
申告書の作成 | ◯ | |||
争続の場合の法律行為の代行 | ◯ | |||
相続放棄の代行 | ◯ |
弁護士
弁護士には相続争いが起こっている状態で依頼をすることが多いですね。
税理士
税理士には相続税の申告書の作成依頼をすることが多いです。
司法書士
司法書士には不動産の登記の代行を依頼することが多いと考えられます。
これらの独占業務を行うことができるのは、業務欄に◯がついている専門家だけであり、その他の専門家が手続きを代行した場合は、違法行為になってしまいます。
例えば、弁護士でない法律の専門家税理士や司法書士が報酬を得る目的で、相続争いの法律行為の代理や仲裁をするのは、非弁行為となります。
このような違法行為を行うと、2年以下の懲役・300万円以下の罰金が課せられることになります。
逆に弁護士であっても税理士の独占業務である申告書の作成を報酬を得る目的で行うと、税理士法違反となります。
もちろん刑として3年以下の懲役または200万円以下の罰金が課されます。
ですから、上の表をしっかり理解した上で各専門家に相続手続き代行の相談に行く必要があるでしょう。
相続の手続き専門家は誰?あなたのお悩みを解決!
あなたの相続に関するお悩みは誰に相談すればいいのか紐解いていきましょう。
まず相続に関するお悩みには相続が発生する前と相続が発生した後、2つに分けられます。
相続発生する前の悩み
下の表をご覧ください。
相続発生前 | 弁護士 | 税理士 | 司法書士 | 行政書士 |
遺言書の作成指導 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
家族信託の指導・相談 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
相続税対策の相談 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
この表にもあります通り、相続発生前のお悩みに関してはどの専門家も対応可能です。
ですが、遺言書の作成指導や家族信託の指導・相談については、法律の専門家である弁護士や司法書士が良いでしょう。
相続税対策について将来の相続の額を少しでも減らしたいと考える場合は、税法の専門家である税理士、相続専門の税理士をおすすめします。
弁護士や司法書士も相続税対策の対応はできますが、民法に従った平等な分け方を勧められることが多い傾向にあります。
弁護士や司法書士といった専門家に相続税対策を相談すると、相続税額を大きく減らせる特例を使わなかったり、二次相続を考慮しないこともあるので注意しましょう。
お医者さんにも専門があるように、税理士でも専門があります。
相続発生した後の悩みの手続き代行
下の表を見てください。
ここからは各専門家によって依頼できる内容が変わってきますので、注意深くご覧ください。
相続発生後 | 弁護士 | 税理士 | 司法書士 | 行政書士 |
相続放棄 | ◯ | ◯ | ||
準確定申告 | ◯ | |||
相続財産の評価 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
遺産分割協議書の作成 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
争続対策 | ◯ | |||
相続税の申告 | ◯ | |||
相続登記 | ◯ | ◯ | ||
遺留分侵害額請求 | ◯ | ◯ | ◯ | |
税務調査の立ち会い |
まず、相続放棄についてです。
相続放棄は各相続人がプラスの財産もマイナスの財産も全て放棄するといったものです。
弁護士に相続放棄の手続きを依頼すると、
・書類作成
・裁判所の手続き代行
全ての手続きを行ってもらえます。
しかし司法書士に依頼すると、裁判所の照会や回答に対応するものは相続人本人となります。
次に準確定申告についてです。
準確定申告は、確定申告が必要な人が1年の途中で亡くなられた場合に1月1日から亡くなられたその日までの所得・所得税を計算し、相続人が故人の代わりに確定申告を行うことを差します。
この手続きは税理士に依頼しましょう。
次に相続財産の評価についてです。
相続財産の評価はどの士業でも対応できますが、土地や非上場の株式の評価というものは非常に専門性が強いものです。
10人税理士がいれば10通りの評価が出てくるというほど難しい分野です。
財産評価に精通した税理士に手続きを代行すると良いでしょう。
次に遺産分割協議書の作成についてです。
遺産分割協議書の作成は、各専門家共に対応可能です。
基本的にどの専門家に手続きを代行してもらっても構いません。
次は争続についてです。
争続がもう既に起こっている場合、起こりそうな場合は弁護士さんに依頼しましょう。
次は相続税の申告についてです。
相続税の申告については、相続が開始されてから10ヶ月以内に行う必要がありますが、税理士しか対応ができません。
相続税の申告を依頼する時には、後にあるであろう税務調査に備えて相続税に強い税理士に依頼することをおすすめします。
次に相続登記についてです。
相続登記の相談について受け入れることができるのは司法書士と弁護士になりますが、不動産の登記の手続き代行については司法書士に相談しましょう。
これまでは相続登記に関してはいつまでにしておくという義務はありませんでしたが、相続登記の義務化が決定しましたね。
相続登記の義務化についてはこちらの記事をご覧ください。
次にもしも遺言書のせいであなただけが相続人の中で財産をもらえなかった、こういった時には遺留分侵害額請求という制度の下、あなたの法定相続分の半分の金額のみ請求することが可能です。
この際、遺留分侵害額請求書という書面で相手方に通知することが必要となってきます。
税理士以外の専門家なら誰でも相談を受けることができますが、司法書士や行政書士は依頼人の代理人となって交渉を行うことができないため、遺留分に関するお悩み・手続きに関しては弁護士に依頼することをおすすめします。
次は税務調査です。
税務調査は相続税の申告書を元に相談するわけですので、税理士に相談しましょう。
相続税の申告書を依頼した税理士にお願いするケースが多いですが、稀に不信感を抱き、別の税理士に依頼する方もいます。
ですから、税務調査に関しても最初から考えておき、相続専門の信頼できる税理士に依頼することをおすすめします。
相続の手続き代行で誰に何を頼めばいい?
最後にまとめますと、相続発生前の相談についてはどの項目についても一応対応は可能ですが、遺言書の作成指導や家族信託の指導・相談については、弁護士や司法書士が適任ですね。
また、相続税対策については将来の税額を少しでも減らしたい場合には、相続に特化した税理士をおすすめします。
相続発生後の相談については、各専門家によって対応できる業務が変わってきますね。
相続放棄の手続きの代行依頼でしたら、司法書士か弁護士に。
亡くなった方の確定申告の手続きの代行依頼でしたら、税理士に。
あらかじめ財産評価が確定した遺産分割協議書の作成の代行依頼でしたら各専門家に。
遺産分割協議から生じる争続関係の手続き代行でしたら唯一法律的に介入できる弁護士に。
相続税の申告の手続き代行を依頼するのでしたら税理士に。
不動産の相続登記の手続き代行を依頼するのでしたら司法書士に。
遺留分侵害額請求でしたら、依頼人の代理人となって交渉できる弁護士に。
最後に税務調査の立ち会いに関しては、申告書を依頼した税理士か、その他の相続税に強い税理士に。
各専門家に依頼をしよう
今回の記事では、各専門家の相続に関してできること・強みについて紹介しました。
どの専門家にどの相談内容を持ちかけたらいいか理解できましたか?
また各専門家の強みをより詳しく説明した記事をご用意しております。
税理士に依頼した方がいい理由についてはこちらの記事をご覧ください。
弁護士に依頼した方がいい理由についてはこちらの記事をご覧ください。
司法書士に依頼した方がいい理由についてはこちらの記事をご覧ください。
それぞれの専門家にそれぞれの強みがあります。
それぞれの専門家の専門分野をよくこの記事や紹介した記事で把握して相続についての手続き代行をご依頼されることをおすすめします。
ご依頼先を間違えると面倒なことになりますし、よく把握して手続き代行をおすすめします。
さまざまな士業の方がいらっしゃり、どの士業の方もさまざまな専門家ですよね。
そういった士業の方に相続の手続き代行していただくことで、手間や時間は取られなくても済みます。
しかし、やはりお値段との相談でもありますし、自分で手続きされたい方も多いでしょう。
そういった方は以下に紹介する記事をご覧ください。
相続放棄の手続きを自分でする場合についてはこちらの記事をご覧いただきたいです。
相続登記の手続きを自分でする場合についてはこちらの記事をご覧ください。
相続の手続きについて、相続の手続きが間に合わなかった場合はどうなるのかはこちらの記事をゆっくりご覧いただきたいです。
全てを自分で把握したり全ての手続き代行を依頼せずに自分で行うのはとても大変だと考えます。
あなたにとって最善の方法を選択できるように願います。
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