「親に多額の借金があるからすぐにでも相続放棄したい。」
「今すぐにでも相続放棄したいけどできないみたいだね。何故?」
「相続放棄が生前に出来ないんだったら、これから対策って他に取れませんか?」
このような疑問を持つ方も多いでしょう。
相続放棄は亡くなった人の借金から逃れたい場合に行われることが多いですよね。
もちろんそうでないケースもありますが、そういったケースが多いことで知られています。
親に多額の借金があるとわかっている場合には、将来的に相続放棄をしなければならないと考えている人も少なからずいます。
そのような場合、いますぐ相続放棄はできないがこれから何かできることはないのか、そう考える人も多いでしょう。
そこで、この記事では相続放棄を生前にしたくてもできない理由とこれからできる対策についてセットでご紹介していきます!
司法書士にインタビューした上で書き留めた情報なので、大変信憑性のある情報ばかりです。
5分でサクッと読める内容なので、是非最後までご覧ください。
相続放棄とは
相続放棄とは、親などの亡くなった方から一切の財産を相続しないということです。
プラスの財産もマイナスの財産も相続することはできません。
一般的にマイナスの財産が多い家庭が相続放棄をされるケースが多いでしょう。
もちろん相続争いに関わりたくない方なども相続放棄されるケースがあります。
相続放棄は生前にしたくてもできない!その理由とは?
相続放棄は生前にしたくてもできません。
もし万が一家庭裁判所にて相続放棄をしたいと申し立てをしたとしても、相続放棄をすることはできません。
相続放棄は相続が発生してから行う手続きのルールとなっていますのでご注意ください。
なぜこのようなルールになっているかというと、親などの被相続人の不当な干渉によって強制的に相続放棄をさせるということがあり得るからです。
大前提として、本来認められるべき相続権が侵害されるのを防ぐためでもあります。
つまり、自分の意思だけで相続権を放棄するならいいけれど、親などの干渉により放棄を決めるのはもってのほかだということですね。
相続放棄をする前のこれからの対策
生前に相続放棄はできないことがわかりました。
しかし、親に多額の借金があり既に相続放棄が決まっている場合は、何か準備を始めておきたい気持ちもありますよね。
そういった場合の対策について3つ、サクッとご紹介していきます。
自己破産をする
生前に借金問題をまず解決してもらおうということです。
どうしようもないほど借金がある場合は、やはり自己破産も検討していく必要がありますよね。
自己破産は損害賠償の債務を除き、一般的な借金(カードローンや消費者金融からの借入なども)を全て帳消しにしてくれるといった国の制度です。
この制度を使うことで、相続時に被相続人の借金をなくすことができますよね。
しかし、自宅を含め全ての財産を売却処分することで借金の支払いに当てなければならないといった規定はあります。
とはいえ、生活に必要な最低限の資金や生活財産は残すことができますので、場合によっては自己破産をした後で通常の相続をしていくという流れをとった方が良いこともあるでしょう。
生命保険に加入して家族に財産を渡す
生命保険に加入して家族に財産を残すということも検討に入れてもらうと良いでしょう。
生命保険といえば、万が一の時に家族にお金が入るように考えている経営者の方も多いかと考えますが、生命保険をうまく活用することで相続争いや相続税対策をすることも出来ます。
一般的にも生命保険を活用すると、活用しないでは、相続税の違いが大きく出てきます。
死亡保険金は500万円×相続人数が非課税となります。
ですから、配偶者と子供3人が相続人の場合は、計4人となるため2000万円が非課税となりますね。
また、相続対策としてよく使われるのが一時払い終身保険です。
加入時に保険料全額を一括で払い込むシステムが取られており、保険料の総額が安くなり、高齢でも加入できるといった点がメリットです。
多額な借金があるとはいえ、多少なりとも葬儀費用などの費用を遺してあげたいと考える人も多いかと感じます。
そういった場合に一時払い終身保険で何百万かでも遺ししてもらえれば葬式費用などの足しにはなるのではないでしょうか。
相続放棄は借金なども受け継がなくて済むものですが、プラスの財産も受け継ぐことはできません。
ただし、亡くなった方が生前に生命保険に加入しておくことで死亡後にお支払いされる生命保険金を受け取ることが可能です。
つまり、生命保険金と相続財産は切り離して考えることができるということですね。
最高裁の判例でも出ていますので、ご安心ください。
遺留分の放棄をする
生前に相続放棄はできないことは言いましたが、最低限相続人に保証される遺留分の権利については家庭裁判所にて生前の放棄が可能です。
しかし、遺留分は放棄できたとしても借金は相続することになりますので、ご注意ください。
もらうことができるプラスの財産をあらかじめ放棄するといったことになります。
例えば、遺言書を亡くなった人が書いていたとしても遺留分の請求は最低限できるようになっています。
遺留分については、サクッと5分で読めるこちらの記事をご覧ください。
遺留分と相続放棄については全く違うものであることを理解していただきたいです。
遺留分の放棄をする方は、やはり親側から頼まれる方が多いように感じます。
「あなたには住宅資金を用意したから、遺留分の放棄をしてくれない?」
「あなたには数年前生活費をたくさん出してあげたから、遺留分の放棄をしてくれない?」
このように親から頼まれるということが背景に多いことから、遺留分の放棄をするには条件が3つほどあります。
これから説明する3つの条件をきちんとくぐり抜けていなければ、遺留分の放棄は出来ません。
本人の自由意志で行われること
まず、本人の自由意志で遺留分の放棄の手続きが行われること。
強制的に遺留分の放棄が行われたものではないことを家庭裁判所は確かめてきます。
背景に誰かが言ったから、こういったところを隠し持っているようではいけません。
自ら進んで遺留分を放棄するということ、これが第一条件となっています。
合理性があるか
次にその方が遺留分を放棄するのに合理性があるかといったところを見極められるでしょう。
家庭裁判所には、遺留分を放棄する理由についても問われます。
遺留分を放棄する人に生活に困らないだけの資産があるかどうかが大事になってきます。
また、他方で生活に困るほどの人であってもたくさんの資産を他の人に分けてあげたいなど、一定の理由があると認められやすくはなります。
遺留分を放棄したことによる代償の有無
最後に遺留分を放棄したことによる代償の有無を問われます。
遺留分を放棄したことによって、例えば見返りとして、生前に住宅取得資金を贈与した、生活費を贈与した、こういったところも家庭裁判所は考慮します。
代償の給付がなくとも絶対に遺留分の放棄が認められないといったことはありませんが、代償の給付があることによって遺留分の放棄は認められやすくなるということです。
やはり最低限主張できる権利を放棄するなら、見返りに何かないと納得できないところもありますし、難しいところですよね。
生前の相続放棄を約束した念書は有効か?
「生前に相続放棄を約束した念書を取っておいたから、相続放棄になりますか?」という質問も多く寄せられます。
しかし、当事者同士だけで何をしたところでこういった法律の場では有効な手段とはなりません。
遺産を分割する家族会議と同じで当事者同士で法的な書類も作らず「なんちゃって遺産分割協議」を行ったところで、何の解決にもならないのと同じです。
あくまで、家庭裁判所で相続放棄の手続きを取る必要がありますし、生前における相続放棄は法律的に認められていませんので、ご注意ください。
例え相続放棄を約束した念書を取ったところで、相続放棄を強制する事はできないということですね。
もとより強制的に自身にあるべき権利の放棄を約束させられるといった可能性もないとは言えないので、このような制度になっています。
相続放棄は生前に不可能!これからの対策まとめ
親などの被相続人の生前には相続放棄は出来ません。
相続人の自由な意志のもとで決められるべきだと考えられているからです。
また、相続放棄をする場合は、親などの被相続人の死亡後3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを取る必要があります。
慌ただしい中の3ヶ月といったら本当にすぐに過ぎますので、しっかり前々から準備をしましょう。
さらに、親などの被相続人に多額の借金があるときは、親などの被相続人が生きている間にどうすればいいか見てきました。
生前に自己破産などの債務整理を考えてもらうということが1つの方法でしたよね。
自己破産をするのはとても勇気がいることだと考えます。
よく借金を抱えている親などの被相続人と一緒に相談することをおすすめします。
他にも、生命保険への加入で財産を遺すことや、遺留分の放棄などでも一定の対策は可能になりました。
生命保険への加入は特に相続対策には有効だということをご説明しました。
特定の相続人に相続させたくない場合は、遺言書を作って、遺留分の放棄をしてもらうことによって、安全にその人に財産を渡さないといったことができます。
遺言書の重要性についてや、遺言書の弁護士依頼費用については5分でサクッと読めるこちらの記事をご覧ください。
弁護士選びの基準などが書いてあるので、遺言書の作成を弁護士に依頼するのであれば参考になるかと思います。
あと生前の相続放棄の念書についてはよくご質問としてありがちですが、無効ですのでご注意ください。
今回は、相続放棄を生前にしたくても出来ない理由と事前対策3つを解説してきました。
相続放棄を考えなければならない家庭では、将来のこともよく考えて事前対策を行ってみてくださいね。
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