「相続税の確定申告ってした方がいいの?」
「相続税の確定申告は何から始める?」
「相続税の確定申告の流れについて教えてください。」
このような疑問や悩みに直面している方も多いでしょう。
ではそもそも相続税の確定申告はした方がいいのか、また相続税の確定申告をするならば流れとしては何から始めるのか、これら全て疑問や悩みを解決すべく税理士にインタビューしてきました。
とても最新の情報となっていますので、最後までご覧ください。
相続税の確定申告はした方がいい?
そもそも相続税の確定申告はした方がいいのか、税理士に率直に聞いてみました。
すると、返ってきた答えは「相続税の確定申告をするのは後々、他の相続人や税務調査官から自分を守る証拠になる。」という言葉でした。
税理士からインタビューしたことを簡潔にまとめると、
・後々税務調査に入った時にあらぬ疑いをかけられなくて済む。
・税務調査官にとっては、無申告の人を見つけるのはとても簡単であり手間もかからなく自分の実績にもなり美味しい話。
・確定申告書は、後に他の相続人から自分を守る証拠になる。
1つずつ解説していきます。
お話を伺った税理士さんは元税務調査官の方でした。
これから税務調査官のとても汚い話を暴露する形にはなりますが、事実の一部として受け取っていただけたら幸いです。
後々税務調査に入った時にあらぬ疑いをかけられなくて済む
ある専業主婦A子さんの実の父親が亡くなった時に、A子さんは確定申告もせず、税務調査ももちろん行われなかったとします。
しかし、何かの拍子で税務調査が入ってしまいます。
そこで専業主婦のA子さんにある程度大きな財産があることが発覚します。
A子さんは専業主婦ですから、もちろん自分にまとまった毎月の収入はないわけです。
「これは旦那さんの名義預金ではないですか?」
本来は10年前に亡くなった実の父親の遺産だったはずなのに、旦那の名義預金ではないかというあらぬ疑いをかけられてしまいます。
これはなぜそうなったかと言うと、10年前に亡くなった実の父親の遺産であることを証明する確定申告書という証拠がA子さんにはないので、実証することができないといったところが理由になります。
証拠がないので、また別件で違う税務調査が入ってしまいます。
そのため、税理士費用が余計にかかってしまったり、必要以上に心身ともに疲れてしまうでしょう。
ではどうすれば防げたのか。
これは10年前に実の父親が亡くなった時に相続税の確定申告をしておくべきだったと考えます。
税務調査官は無申告の人を見つけるのに必死
税務調査官にとっては、無申告の人を見つけるのはとても簡単であり手間もかからなく自分の実績にもなり美味しい話です。
何より増差額が確定申告を1度している人より莫大に出る可能性も高いです。
また、ペナルティになる税金の増額も無申告の場合のほうが絶対にかかります。
ついでに見つけるのに手間もかかりません。
無申告の人を見つけるのはプロの税務調査官にとってはとても簡単です。
税務調査官は必死になって無申告の人を狙っています。
ここで確定申告をしておけば、ペナルティになる税金の増額は少ないですし、無申告ではないので、税務調査も比較的入りにくくなります。
相続の場合、基礎控除額をギリギリ超えるか超えないかであった人は必ず確定申告をすることをおすすめします。
後で亡くなった方の把握しきれない財産が出てきた時にあなたはどうしますか?
そこから確定申告したとしても延滞税を取られる羽目になりますし、もし気づかず税務調査に入られた場合は、無申告なのでそれに関する税も取られます。
基礎控除額ギリギリの額を相続する家庭では、確定申告しなくていいことは全くありません。
税務調査官に何かあらは出てこないかと狙われるばかりです。
税務調査に入られると何もなくとも精神的に疲労します。
確定申告にかかる費用は相続する財産の額にもよりますが、基礎控除額付近であれば相場としては30万から50万の予算で済むでしょう。
相続税の確定申告をすることでこの税務調査のケースも逃れられる可能性が高かったということがお分かりいただけたでしょうか?
後に他の相続人から自分を守る証拠になる
「あの時はいくらもらった。」「いや私はもらってない。」このような相続人の争いをテレビなどで耳にしたことはないでしょうか。
このような相続争いから自分の身を守ってくれる証拠が相続税の確定申告書です。
争いごとはできる限り避けたいですよね。
相続税の確定申告をすることでこちらのケースも解決策が見つかることでしょう。
相続税の確定申告は何から始める?
ここまでで相続税の確定申告をする重要性は理解できたでしょう。
では相続税の確定申告をしたいけど、何からどう始めたらいいか分からない。
このような疑問が出てくるでしょう。
丁寧に順を追って解説していきます。
相続税をざっくり計算する
ざっくりとした相続税の計算の仕方はこちらの記事をご覧ください。
亡くなられた方の財産を全て把握
亡くなられた方の財産を全て把握することから始まります。
例えば不動産事業をしていて借入がある場合は、借入も相続財産の対象になってきます。
亡くなられた方の戸籍を収集
亡くなられた方の生まれてから亡くなるまでの戸籍を全部揃えることが必要になりますね。
亡くなられた方の戸籍を収集することで法定相続人を確認することができます。
そこでは知らない法定相続人を確認できる場合もあります。
例えば愛人との間の子供であったり、前妻との子供であったり、大変なことになりますが仕方がないですね。
転勤などで住んでいた地域が変わっていた場合、揃える戸籍も増えますので、とても大変になります。
司法書士に依頼するのもいいですね。
司法書士に依頼するメリットはこちらの記事からご覧ください。
財産目録を作る
財産目録を作ります。
財産にどんなものがあるかわかってきたら、全てを一覧に書き出しましょう。
財産には以下のようなものが含まれます。
預金
預金は銀行から残高証明書を入手しましょう。
通帳を記帳すれば亡くなった日の残高も載っているのでそれでいいと思われる方も多いかと思います。
しかし、銀行に亡くなった方の通帳を持っていって「残高証明書をお願いします」と言うと、持っていった通帳だけではなくその銀行にある他の定期預金や他の口座も載せてくれます。
相続人の方々が知らない口座が出てくることもありますので、ぜひ銀行に残高証明書を依頼してください。
保険
次に探していくと、保険の証券等も出てきますよね。
保険の証券を見るだけみても分からないのは当然ですし、いくらもらえるのかも分からないでしょう。
ですから保険会社に請求をかけましょう。
不動産
次に不動産です。
不動産は固定資産税評価証明書という年に一回「固定資産税を払ってください」という通知がきているはずです。
不動産ごとに固定資産税評価額というものが載っています。
この固定資産税評価額を集計することで財産の把握をすることができます。
土地の中では正方形ではなく利用しにくい、極端にいうと三角形で使いにくい、道路に面していない、などそういう条件があると、相続税の計算上評価を下げることも可能です。
しかし、まずはざっくりとした計算ということで固定資産税評価額を使ってみましょう。
土地の中には倍率地域と言われる地域があります。
これは、田舎の山林や田んぼなどの土地には固定資産税に5倍、10倍の数字をかけることで計算してくださいという土地もあります。
この倍率をかけずに計算しておくと、後から税務署に「この土地は倍率かけて計算する土地だから、倍率かけて計算すると相続税の対象です。」と言われることも多くあります。
必要な倍率をかけずに少なく計算してしまうことや、申告不要だと勘違いしてしまうこともあるということですね。
相続人で話し合う
ここからどうやって財産を分けるかを相続人で話し合うことになります。
家族で十分話し合ってください。
財産の分け方がすんなりいくこともあれば、非常に揉めてしまう家庭もあります。
遺産分割協議についてはこちらの記事をご覧ください。
余裕を持って話し合いを行いましょう。
そして遺言書が出てくる時もあります。
遺言書は有効な遺言書の場合は守る必要性が出てきます。
しかし、遺言書に記載されている財産の分け方が「長男に全て相続する」といったような場合は、「最低この額もらえます。」という法律上の額を遺留分減殺請求の権利を主張していくことで、他の兄弟も法律的にもらうことが可能です。
この場合は法律的に無効なのですが、亡くなった方の意思なので尊重してあげるのもいいですね。
確定申告書を作成する
確定申告書を作成するのですが、相続があった日から10ヶ月以内が期限となっています。
期限をすぎると相続税が安くなる特例が使えなくなってしまいます。
その一例である配偶者控除についてはこちらの記事をご覧ください。
いつから確定申告の準備を始めるの?
突然何十年ぶりに知らない人に連絡をするということにもなりかねない上に予想外のことが起こりかねないので、できる限り早く準備を始めるにこしたことはないでしょう。
財産全てを把握することができず、財産に漏れがあり税務調査で指摘されることもあります。
そういう時は本当に漏れていただけなので心配することはありません。
税金以上に得する方も少なくはないです。
漏れていたら後で払うだけになるだけなので安心してくださいね。
相続税の確定申告をしよう!
この記事をここまで読んでいただいた方には相続税の確定申告を行うことの重要性が身にしみて分かったのではないでしょうか。
税務調査官はあくまで無申告を注意深く狙っています!
自分の手柄にするなら無申告者から税金を取った方が沢山税金が取れるからです。
相続税の確定申告を行った上で漏れている場合は仕方のないことですし、追加で多額の税金がかかることはありません。
相続税の確定申告を積極的に行い、自分の身は自分で守りましょう。