大切な方が残した財産を相続するのに、相続税を収める義務が発生します。
財産というと、現金や預金をイメージする方が多いと存じます。
しかし、亡くなった方が所有する土地も含まれるのが現実です。
土地は、評価額に対して計算が必要になっていきます。
計算する上で重要になってくるのが、公示価格と相続税路線価です。
そこで、今回は
・相続税路線価と公示価格とは? ・相続税路線価はどうやって調べて、どう見ていけばいいの? ・相続税路線価の補正とは? ・路線価を利用して実際に計算シュミレーション |
について、ご紹介していきます。
気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。
相続税路線価と公示価格について解説!
土地の評価額を計算するために、
・相続税路線価
・公示価格
これらの内容を知る必要があります。
早速内容を見ていきましょう。
相続税路線価とは
相続税路線価とは単価の指標を示しています。
毎年7月に国税庁がその年の評価基準額を公表し、災害等があると調整が行われます。
最近では、熊本地震の際に調整が行われました。
この後説明をする、公示価格の8割程度になるように調整をされて指標が決定されています。
公示価格とは
公示価格とは、その年の1月1日時点での、標準地1㎡あたりの土地の価格を指します。
国土交通省が毎年3月にその年の公表を行います。
全国約2万6000の標準地に対して、不動産鑑定士が土地価格を調べ、土地鑑定委員会が審査して決定しているのです。
相続税路線価の調べ方
相続税路線価を調べる方法として、
- 国税庁ホームページから路線価を調べる
- 全国地価マップ
のどちらかを利用していきます。
国税庁ホームページの路線価
実際に使用してみて、直近7年間分の記録を見ることができることが良い点だと感じました。
また、お知らせ欄から細かい調整や変更点などを確認できることも利便性が高いですね。
全国地価マップ
全国地価マップより画像引用。
こちらは、一般財団法人 資産評価システム研究センターが運営をしている、全国地価マップです。
操作がわかりやすく、すぐに調べたい場所の地価を見つけることができます。
また、カラーで見ることができるので、視覚的にも確認しやすいメリットがあります。
相続税路線価の見方について
ここからは、相続税路線価について詳細を見ていきます。
調べていくと、地図上に様々な記号や数字が表記されます。
一例を見ていきましょう。
相続税路線価の見方の手順
路線図を調べると上記のような地図が表示されます。
上記の表を見ていく手順として
・住所の確認 ・路線価の確認 ・地区区分の確認 |
となります。
住所の確認
調べたい住所を地図上で確認しましょう。
今回は、北新宿1丁目でいきます。
路線価「東京都 新宿区 北新宿1丁目」図引用
地図上に、住所が表示されているので、間違った住所で確認しないように注意してください。
路線価の確認
路線価「東京都 新宿区 北新宿1丁目」図引用
地図上には、上記の様な数字とアルファベットの組み合わせがあります。
地図上の数字は、千円単位での表記です。
ここでは、「480」となっているので、48万円を示しています。
(わかりやすく説明すると、1㎡あたり480千円=48万円)
また、この「C」のアルファベットですが、借地権割合を意味します。
地権割合とは、その土地の権利で、何割が借地を占めるかをいいます。
土地評価額の計算の際に使用していく、大事な数字です。
借地割合のアルファベットと%の相関図は以下のとおりです。
アルファベット | A | B | C | D | E | F | G |
借地権割合 | 90% | 80% | 70% | 60% | 50% | 40% | 30% |
地区区分の確認
地区区分は全部で7種類の区分が存在します。
後々説明をする補正率の計算時に関係してきます。
相続税路線価減額補正について
その土地の形状や条件に応じて補正が必要になってきます。
土地がいびつな形をしている、変な形をしている等の理由で、利用価値が低い場合には、減額の補正が適応されます。
減額の補正対象となるのは5種類あります。
・奥行価格補正 ・不整形地補正 ・間口狭小補正 ・奥行長大補正 ・がけ地補正 |
一つずつ内容をご紹介していきます。
奥行価格補正
一般的な土地と比べて、奥行きが長すぎたり、短すぎたりした際に対象となります。
正方形の土地と比べると、使い勝手が悪く、利用価値が下がってしまうからといったことが理由になります。
奥行きが同じ土地であっても、地区区分に応じて、補正率が変わってくるため注意が必要です。
整形地補正とは
一般的な土地と比べて、土地の形がいびつな場合にて対象となります。
台形や三角の土地だと、正方形の土地よりも利用価値が下がってしまうからです。
また正方形の土地でも、道路に対して斜めに配置している場合は、減額の対象になっていくので注意しましょう。
地区区分・地積区分・かげ地割合を計算し不整形地補正率表を用いて補正率を算出します。
間口狭小補正とは
道路に接してある間口が土地に対して狭い場合、対象となります。
出入りする際に支障が出てきて、利用価値が下がってしまうからです。
地区区分や間口の幅によって、0.8~1の補正率で減額されます。
奥行長大補正とは
間口の幅の割に、奥行きが長い場合、対象となります。
奥行きの長い土地は、使い勝手が悪く、利用価値が下がってしまうからです。
基準として、奥行きの長さを間口の幅で割った値が、2以上の場合が対象です。
がけ地補正とは
がけ地と平地が一体となっている場合に対象となります。
がけ地に家などを建てることはできないですよね。
つまり、利用価値が下がってしまうことが理由です。
がけ地があると、どうしても利用できない土地なので、他の減額補正よりも補正率が大きくなります。
また、がけ地のある方位が北の場合は、日照の問題より、補正率が高くなります。
路線価の増額補正について
反対に、土地の状況によって、増額されるケースもあります。
利用価値が高くなるのは、どのような土地でしょうか。
増額の補正対象となるのが
・側方路線影響加算 ・二方路線影響加算 |
の2種類になります。
内容をご紹介していきます。
側方路線影響加算とは
土地が交差点や道路の角地にあり、複数の道路に接する場合が対象です。
正面路線と側方路線に分かれており、路線価が高いほうが正面路線となります。
2本の道路に接するため利用価値が高くなり、対象となります。
土地は、角地と準角地の2種類です。
角地とは、2本の道路が重なっている、またはT字路のような道路にある場所で、前面と側面が道路に接している場所を指します。
一方、準角地とは、L字の道路で、その内側にある場所のことを指します。
もちろん一般的には角地のほうが利用価値が高く、増税が大きくなります。
角部屋は高いと聞いたことはありませんか?
二方路線影響加算とは
土地の前後に異なる道路があり、挟まれているような土地の場合、増税の対象です。
前後に道路があると、利用価値がかなり高くなるため、最大で7%の増額を受けることができます。
相続税路線価を使用して、土地評価額を計算!
さっそく、相続税路線価を利用して土地評価額の計算を行ってみましょう。
今回の計算は、路線価方式と呼ばれています。
・自用地評価額 ・貸家建付地評価額 ・貸宅地 |
の3つの計算方法をご紹介します。
自宅地評価額の計算方法
自宅地評価額とは、自分が使用している土地です。
〈計算方法〉
自用地評価額=路線価×各種補正率×面積 |
先程説明した補正率が関わってくるため、計算するときには細心の注意が必要です。
貸家建付地評価の計算方法
自分が所有する土地に賃貸用の建物を建て、他者に貸している場合の土地のことを言います。
〈計算方法〉
貸家建付地評価額=自用地評価額−(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合) |
借地権割合は、先程路線価で確認したアルファベットの%を入れていきます。
借家権割合とは、建物を借りている人が建物を利用する権利を指します。
この割合は全国一律で30%と決まっていますね。
賃貸割合とは、貸し出している部屋の床面積の割合のことです。
例えば、全てのお部屋の面積が100㎡で2部屋あり、1部屋が貸し出しの状況だとすると、50㎡÷100㎡=0.5なので50%と計算していきます。
貸宅地の計算方法
貸宅地とは、自分の土地の上に建物を建てて、使用することを目的として、第3者に貸している自分の土地です。
〈計算方法〉
自用地評価額×(1−借地権割合) |
貸家建付地との違いは、自分の土地の上に設置してある建物の所有権の違いです。
自分の所有する建物であれば、貸家建付地。
第3者が所有する建物であれば、貸宅地となります。
実際に計算をシュミレーション
それでは、実際に先ほど紹介した計算式を使って計算を行ってみます。
今回の条件として
◯路線価「480C」を利用します。 ◯土地の面積は100㎡で、補正率は何も対象がなかったと想定します。 ◯賃貸割合は全ての部屋を貸し出している状態で想定します。 |
○自用地評価額 48万円×1(補正率)×100㎡=4800万円 ○貸家建付地評価額 4800万円−(1−70%×30%×100%)=3792万円 ○貸宅地 4800万円×(1−70%)=1440万円 |
相続税路線価と公示価格とは?土地評価額の計算方法を徹底解説!まとめ
「相続税路線価と公示価格とは?土地評価額の計算方法を徹底解説!」についてご紹介しました。
相続税路線価と公示価格を知ることで、その土地の評価額が算出できることがわかりました。
また、細かい補正について知ることができたと思います。
注意点として、実際の土地評価に使用する、現地の計測や補正適応はかなり複雑な計算となります。
税理士に依頼しても間違えてしまうケースも多いようです。
依頼する際は、土地評価の経験豊富な相続専門の税理士へ依頼して計算をしてもらいましょう!
税理士に依頼するメリットはこちらの記事をご覧ください。